9/6〜11 ロサンゼルス旅行記その1
9/6 22:30(日本時間)
眠れない。とにかく眠れない。成田空港からロサンゼルス空港まで向かう飛行機で幾たびに体勢を変え、まぶたを閉じ、必死に睡魔を呼び起こそうとして格闘している。格闘の末、ついに朝日が昇ってきてしまった。ロサンゼルス空港にあと90分のところまで近づいてしまったのだ。
これはもう眠れない。潔く睡眠をあきらめ、とりあえず苦闘の様子を文章にしたためることにした。
成田を出たのは日本時間の14時35分で、ロサンゼルスには8時50分に着くらしい。時差はマイナス16時間だから、日本時間だと深夜24時に着いて、ロサンゼルスは朝らしい。めっちゃ得、と思う。人生が長くなる。
飛行機の中では村上春樹の『雨天炎天』を読んでいた。読みやすすぎて、もう読み終わりそう。ギリシャの僻地にある寺院とトルコの辺境を巡った貴重な紀行文なのに、こんなに簡単に飲み終えてしまっていいのか、と思うくらいすらすら読めてしまう。
特にトルコとシリアの国境で軍隊に銃を突きつけられたエピソードなど背筋が凍る思いなのだが、なんだかあっさりとしている。タバコ(マルボロ)をあげたらトルコ軍はみんなすんなりと話を聞く、そんな話が書いてあって、緊迫しているのかまったりしているのかわからない。でもトルコに行きたくなったのは間違いなく、GoogleMapsでトルコの辺境のストリートビューを意味なく見ている。そんなこんなしているうちに飛行機が着陸体制に入ったというアナウンスが響く。

今回、ZIPAIRというLCC(低価格の飛行機会社)のチケットが安かったために急遽ロサンゼルス行きを決めたのだけれど、思いのほか飛行機か快適でとても楽しい。リラックスしすぎてアマプラにダウンロードしておいた黒沢清『蛇の道』を2回観た。2回目はうとうとしていた。
人生で初めてのアメリカ大陸、そしてロサンゼルス。大麻の匂いとはいかなるものなのか、ハンバーガーショップで出てくるポテトのボリュームはいかなるものなのか、期待を込めて着陸を待つことにする。そして、この経験をいかにして文章にしたためるか、なんてことも頭の片隅で考えつつ、アメリカ西海岸の陽光を浴びたい。いまはただ、着陸を待っている────。