9/6〜11 ロサンゼルス旅行記その2
9/6 08:50(太平洋標準時)
約10時間のフライトが終わり、無事にロサンゼルス国際空港に着陸した。

直行便というのは不思議なもので、当たり前なのだが飛行機に乗って着いたらもうアメリカ大陸なのである。G-SHOCKで時差を調整すると針がジィ......っと動いて日本時間から太平洋標準時に変わる。それだけではまだアメリカにいるという実感が湧かない。

空港を歩くと、到着口付近にも、バス乗り場の近くにも、やたらとスタバがある。今回の旅行で感じたことのひとつが、圧倒的なスタバのチェーン展開だった。泊まったホテルのフロントにもスタバがあった。次の日に泊まったホテルのフロントにも、もちろんあった。
朝ごはんは謎のマフィンっぽいやつを買う。アメリカに着いて、初めて店員と英語で話す。ああ自分の英語拙いんだろうなと思いながら、でも開き直って、堂々と、マフィンをオーダーする。そしたら「card or cash?」とめちゃくちゃ早口で聞かれる。かろうじて聞き取れたので「card!!」と、なんかもう、嬉しくてたまらないみたいな感じで叫ぶ。アメリカではこのやりとりが続くのか......と一瞬しょげるけど、大丈夫。

ロサンゼルス空港からはBig Blue Busに乗ってサンタモニカへ。ロサンゼルスの公共交通機関は治安が悪いと聞いていたけど、少なくともこのバスは大丈夫そう。
サンタモニカ。名前は聞いたことがある。でも具体的にどんなスポットがあるのか知らなくて、『地球の歩き方』でリサーチした。ヤシの木。青い空。砂浜。ここがアメリカ、西海岸、と言わんばかりのバカンス要素のオンパレード。実際、この旅でいちばんのアメリカっぽさ、異国情緒を感じたのはサンタモニカだった。

サンタモニカ・ピアからビーチへ降りる。空に雲がない。空に雲がない!!もはやCGだ!!と、ずっと思っていた。昨日の夜まで東京のオフィスで労働していたから、あまりの光景の変わりように心身がついていかない。地球は広いのか狭いのかよくわからなくなってくる。
砂浜でのんびりしていると、謎のビーチグッズを売っているおじさんが近づいてくる。でもビーチにいる誰も、気にかけないし見向きもしない。というか、のんびりと自分の世界に入っている。おじさんも声をかけるでもなく、ビーチグッズを乗せた台車を引きながら、ただただ歩いていく。のんびりするとはなんて素晴らしいことなのだろう、と思う。道端に寝ころがる猫の気持ちがいまなら理解できる。
サンタモニカの少し南にはベニスという地区があって、そこにもビーチがあり、それと運河が綺麗だというので見に行くことにする。

これがベニス運河。『地球の歩き方』によると、たばこで儲けた男が、大好きだったイタリア・ベニスの運河を1905年に再現しようとして、そのとき作られた一部が残っているらしい。なんじゃそりゃ、と思うけど、運河を作る理由なんて水運か趣味のどちらかだろう。
ベニス運河、綺麗なだけではなくて、なんといっても大麻の匂いがすごい。というか、すれ違った若者がナチュラルに大麻を吸っていた。大麻ってこんな匂いなんだ。帰国してしばらく経った今では匂いの輪郭しか思い出せないけど、なんとなく鼻腔を刺激されるあの感じはかすかに残っている。
今日はいったんサンタモニカまでバスで帰って、そのあとハリウッドのホテルへ移動する。
ベニスからサンタモニカまでのバス(これもBig Blue Bus)に乗ると、やんちゃそうな若者の集団が同じバス停で乗ってきた。やんちゃそうだなあ、と思っていると、ラジカセ(⁉︎)を取り出して、大音量でヒップホップを聴き始めた。おいおい、スパイク・リーの映画じゃないんだから、と思っていると運転手にたしなめられてボリュームを下げていた(でも音楽をやめることはしなかったし、不思議と僕も音楽をやめてほしいとは思わなかった)。ロサンゼルス初日、だんだんといろんなことに寛容になっていく。日が落ちる前にホテルへと急ぐ。


